原価率は、飲み物と食べ物を合わせて30%以内に抑えます。そして、その30%の中で、お客さんに満足してもらう工夫をします。
現場で見てきたこと
原価率は30%以内に抑える
第3章で、人の配置は一番下のラインに合わせる、という話をしました。食材についても、考え方は同じです。
原価率は、飲み物と食べ物を合わせて30%以内に抑えることが、かなり重要になります。食材以外のコストが、結構かかってくるからです。
30%の中で、満足してもらうには
ただ、30%に抑えながら、お客さんに満足してもらわなければいけません。そう考えると、どういう料理にするべきなのか、料理の仕入れ先をどうするのか、を考えることになります。
料理以外で、料理をおいしく引き立てる
そしてもうひとつ、料理以外でお客さんに満足してもらうものは何か、を考えます。
それは、スタッフの接客の良さだったり、お店をきれいにすることだったりします。お店を上品に見せる部分です。料理以外の部分で、料理をおいしく引き立てる。そういったアプローチが必要になってきます。
データで答え合わせ
原価率は飲み物と食べ物で30%以内
判定:今の相場で修正
日本政策金融公庫の調査から、従業者1〜4人の小さなお店の数字を計算すると、次のようになります[1]。
| 業種(従業者1〜4人) |
原価率 |
食材費+人件費 |
営業利益率 |
| 酒場・ビヤホール |
約31.5% |
約59.1% |
−2.4% |
| 一般飲食店 |
約35.0% |
約65.6% |
−4.6% |
| 食堂・レストラン |
約35.4% |
約66.6% |
−4.5% |
| 中華料理店 |
約34.4% |
約69.2% |
−3.6% |
営業利益率がマイナスになっていますが、公庫の人件費には社長の役員報酬が入っています。マイナスでも「社長の取り分がない」という意味ではありません。
この表を見ると、小さなお店の平均の原価率は、すでに30%を超えています。
飲み物の多い居酒屋や鉄板焼きなら、30%前後は平均よりやや良い、現実的な目標です。一般的な目安は「料理が約30%、ドリンクが10〜25%」とされています(2018年)[2]。飲み物と食べ物を合わせて30%という設計は、ドリンクの原価が低いことが前提になっています。
一方で、30%を目標にしていても、ロスや盛りすぎを含めると40%を超えることがある、という指摘もあります[3]。
30%を守りにくくなった理由
30%を守りにくくなった理由は、食材の値上がりです。
2025年3月の消費者物価指数(2020年=100)では、米類が195.3、食料が124.2だったのに対して、外食は114.9でした[4]。お店のメニューの値上げが、仕入れの値上がりに追いついていない、ということです。
2026年に入って、米は値下がりしています(8月は前年比−16.1%)。一方で、肉はまだ上がっていて(6月に前年比+4.3%)、卵は2025年12月に10個308円と過去最高でした[5][6]。
お店の実感としても、2025年8月には9割を超えるお店で仕入れの総額が前年より増え、約7割が11%以上の上昇と答えています[7]。それなのに、仕入れの値上がりを価格に乗せられた割合は、飲食店で28.7%しかありません。全業種の39.9%より低い数字です(2026年7月)[8]。
お酒については、2026年10月の酒税改正で、ビールが350mlあたり9.1円の減税、発泡酒・第三のビールは7.26円の増税になりました[9]。
今の相場での言い方
原価率30%は、今も目標として正しい数字です。ただし今は、何もしなければ30%を超えてしまいます。値付けとドリンクの比率で、30%に戻していきます。
そして、30%の中で満足してもらうために、接客や清潔さ、上品さで料理を引き立てる。接客の話は、第9章 接客で、いいお客さんを集めるで詳しくまとめています。
出典
- 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」
- value-press(クックビズ調査、2018年)
- freee「飲食店の利益率」
- ファイナンシャルフィールド(総務省 消費者物価指数)
- 大和総研(2026年9月)
- さきがけ(共同、卵の価格)
- Airレジ ファクトブック(物価高騰)
- ネットショップ担当者フォーラム(帝国データバンク調査)
- 熊本日日新聞(共同、2026年10月の変更点)