小さな飲食店の利益設計
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第5話食材の仕入れと管理動画は準備中です

第5章 現場の話+データ

食材の仕入れと管理

食材はとにかくストックしない。その日使う分くらいにしておきます。肉は大きく買って小分けにし、冷凍庫でうまく管理します。

この章のポイント

  • 食材はストックしない。肉は大ロットで買って小分けに冷凍
  • 冷凍で肉の品質は保てる。キノコはうま味が増える。野菜の栄養は「増える」わけではない
  • 食中毒の対策の中心は、手洗い・体調管理・加熱
現場の話店をやってきた中で見てきたこと

冷凍をうまく使う

  • 冷凍できるものは、うまく冷凍して長くもたせる
  • 肉は冷凍しても、味がそんなに劣化しない
    • ラップで小分け(ポーション)にして、冷凍庫から少しずつ出せる形にする
  • 魚も同じ
  • 野菜は、冷凍した方が栄養価が高くなるものもある
  • そもそも冷凍した方がおいしいものもある(キノコなど)
  • 小分けにしておけば、解凍が早い。大きな塊のまま冷凍すると、解凍にすごく時間がかかる
  • 安全で新鮮なものを出しながら、ロスを防げる

肉は大ロットで買って、小分けにする

  • 肉は、ある程度大きなロットで買わないと安くならない
  • 大きなロットで買って、細かくポーション分けし、冷凍庫でうまく管理する

葉物野菜は、その日の分だけ

  • 葉物野菜はすぐ悪くなるし、冷凍できないものが多い
  • サラダで出すと、特にすぐ悪くなる

仕入れ先は、売上で決める

  • 農家から取り寄せるのではない
  • 大量に使うなら業者から買う(例:お好み焼き屋はキャベツをバンバン使う)
    • 業者は、段ボールに入れて野菜を運んできてくれる
    • その方が安くてうまく回るなら、毎日来てもらう
  • 業者に来てもらうほどではない場合も、結構多い
  • 売上3万円くらいの日が続くなら、近くのスーパーで、その日必要な分だけ買うのが一番いい
  • 安いスーパー(例:オーケー)がバイクや車でちょっと行ける所にあるなら、そこである程度買っておく
  • どこで経営するか、立地によって変わる

売り切れごめんにする

  • 食材がなくなったら、その料理はその日は終わり
  • お客さんは少し残念に思うが、悪いものを出すよりはマシ
  • 食中毒になったら営業停止。信頼も完全に失う
  • スーパーが近ければ、足りなくなった食材をアルバイトのスタッフに急いで買いに行ってもらえる

お客さんの「幻想」

  • ほとんどの飲食店は、スーパーで買い物をしている
  • 「この食材は、遠くの農家から仕入れてくれているんだろうな」は、お客さんがそうあってほしいと思っている幻想
  • 安全のことと経営のことを考えると、近くのスーパーで買えるものは買う
データで答え合わせ食品科学の研究・行政の統計
裏づけあり

肉は冷凍しても劣化しにくい。小分けにして使う分だけ出す

  • 山口県の試験(2021〜2023年度、鶏肉)では、急速冷凍するとゆっくり凍らせた場合より、解凍時のドリップが約40%減った。解凍後のかたさやうま味成分は、生の肉と差がなかった [1]
  • 解凍は冷蔵庫か氷水で行う。流水や室温での解凍は食中毒菌が増えるので行わない [1]
  • 自治体の食中毒予防の指導も「解凍は使う分だけ行い、解凍後はすぐ調理」で、小分けの考え方とそのまま重なる [2]

補足ドリップが減るのは急速冷凍の場合で、ゆっくり凍らせると逆に増えます。薄く平らに小分けすると早く凍り、早く解けます。魚の冷凍については今回は調べられていません。

裏づけあり

キノコは冷凍した方がおいしい

  • 査読つきの論文(2006年)で、6種のキノコを冷凍してから加熱すると、うま味成分(グアニル酸)が生より多くなることが確かめられている [3]
  • 北海道の林産試験場によると、ナメコとエノキははっきり増えるが、ブナシメジはほとんど増えない [4]
  • うま味を作る酵素は60〜70℃でよく働き、80℃以上で働かなくなる。沸騰したお湯にいきなり入れるより、ゆっくり温度を上げる方がよい [4]

正確な言い方キノコは冷凍するとうま味が増える。ただし種類と火の入れ方による。「栄養が増える」は根拠が見つかっていません。

言い方を修正

野菜は冷凍した方が栄養価が高くなるものもある

  • 米国の研究(2017年)で8品目を比べると、生・冷凍・生を5日冷蔵の間で、ほとんど差がなかった。差が出た場合は、冷凍が「5日冷蔵した生野菜」を上回ることが多かった [5]
  • 一方、日本の研究では、冷凍の小松菜を茹でるとビタミンCの残りが13〜23%しかなかった。冷凍前の下茹でで溶け出したため [6]

正確な言い方冷凍で栄養が増えることはない。収穫直後に凍らせた冷凍野菜は、店で数日置いた生野菜より栄養が保たれている場合がある。葉物は下茹ででビタミンが大きく減ることがある。

裏づけあり

食中毒になったら営業停止。信頼も失う

  • 2025年の食中毒は1,172件、患者24,727人、死者2人。患者数は前年の約1.7倍で、事件数の56.1%は飲食店が原因だった [7]
  • 原因は、ノロウイルス39.4%、アニサキス23.9%、カンピロバクター18.8%(事件数) [7]
  • ノロウイルスでは3日間の営業停止が典型(柏市、上尾市の例) [8][9]
  • 2021年6月から、小さな店も「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が義務。計画を作り、実行し、記録を残す [10]

補足「売り切れごめん」は正しい。ただし食中毒の主な原因は、古い食材よりも、調理する人の手指や体調(ノロウイルス)、鶏肉の加熱不足(カンピロバクター)、生魚(アニサキス)です。体調の悪い人を調理に入れない、手洗い、鶏肉は中心まで加熱、刺身は目で確かめる、が対策の中心になります。

データなし

ほとんどの飲食店はスーパーで買っている

  • 小さな店がどこで仕入れているか(スーパー・業者・市場・ネット)の内訳を示す調査は見つからなかった
  • 業者との受発注アプリ「クロスオーダー」は、毎月13万店以上が使っている(2026年2月、企業発表) [11]
  • 卸の側も小口化している。2025年11月には、必要な時に必要な量だけ買える飲食店向けの食材通販も始まった [12]

言い方「売上が小さいうちは近所でその日の分だけ買い、量が増えたら業者に移る」は、在庫のロスと欠品のバランスとして筋が通っています。ただ「ほとんどの店がスーパー」は、経験談として話すのが正確です。