小さな飲食店の利益設計
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第6話一人で回せる料理と、オペレーション動画は準備中です

第6章 現場の話+データ

一人で回せる料理と、オペレーション

どんな料理を出すかで、オペレーションは大きく変わります。仕込んでおいて温めれば出せる料理なら、一人で回せます。

この章のポイント

  • 仕込んで温めるだけの料理なら、一人で回せる
  • お好み焼きは提供が遅く、回転しない。カレーは仕組みは有利だが競争と原価が逆風
  • 作り置きの料理は、急いで冷まして、中心まで温め直す
現場の話店をやってきた中で見てきたこと

仕込んで、温めるだけで出せる料理

  • できる限り仕込んでおき、あとは温めれば出せる料理なら、一人で運営できる
  • 居酒屋や小料理屋なら、煮物やスープ系。鍋で温めて出せる
    • 例:牛すじの煮込み、肉じゃが

究極はカレー屋

  • カレーをかければいいだけ
  • とんかつなどを乗せるオプションで少し手間は増えるが、それでも利益が出やすい
  • 提供までのオペレーションが簡単なので、人件費を浮かせられる
  • 一人でランチの店をやるなら、カレー屋のような店はすごくおすすめ

大変なのはお好み焼き

  • 注文が入ってから焼き上がるまで、20〜30分かかる
  • お客さんが焼くスタイル(混ぜて焼くだけの状態で持っていく)でも、焼き始めてから食べ始めるまでがすごく遅い
  • 店が回転しない。夜はそこまで回転を求めなくていいが、ランチは絶対に回転させないといけないので、かなりきつい
  • 提供コストも、かなりきつい。すぐお腹いっぱいになってしまう
  • 「粉物は原価が安い」とよく言われるが、提供コストまで考えるとリスクだという感覚

私はほとんどずっと鉄板焼きの店でした。居酒屋などいろいろな店もやりましたが、お好み焼きはおいしいけれど、難しいという印象です。

現場で見てきたこと

半分以上できあがっているものを出す

  • 刺身:切って出すだけ。焼くという工程がない
  • 焼くとしても、最後の仕上げだけにする
  • パスタ:茹でて、上に何かかけて完成(カルボナーラのようなものではなく)

注文が入ってから一から作ると、負のスパイラルに入る

料理が好きな人、職人さんほど、お客さんが来てからいろいろやりたくなります。でも、そこにこだわるのは極力避けた方がいいです。

負のスパイラル

  1. 注文が入ってから、切って焼いてと一から作る
  2. お客さんがいっぱい入ってきた時に、提供できなくなる
  3. 来るのが遅い。お客さんが不満になる
  4. オペレーションが悪いと、できあがる料理が雑になる
  5. シェフも忙しくてカリカリする。接客態度も悪くなる
  6. お客さんが二度と来てくれなくなる。評判も悪くなる
データで答え合わせ2025〜2026年の調査・統計
裏づけあり

仕込んで温めるだけの料理なら、一人で回せる

  • 一人営業の店づくりの解説は、ほぼ同じことを言っている。メニューは3〜5品に絞る、煮込みや漬け込みなど前もって仕込める料理を選ぶ、混む時間は盛り付けと温めだけにする [1]
  • カレーやパスタのような単品の専門店なら、約10席は1人で回せる [1]
  • 五反田のカウンター約8席のビストロは、仕込み8割・その場の仕上げ2割で一人営業を回している [2]
条件つき

カレー屋は利益が出やすい

  • 仕組みは有利。1,000円のカレーで原価300円が目安で、トッピングでも利益が出る [3]
  • ただしカレー店の倒産は2024年度に13件で過去最多。米の値上がり(5年で約1.4倍)、野菜や輸入牛肉の値上がり、スパイスカレーブームのあとの競争が原因 [4]

正確な言い方カレーは利益を出しやすい仕組み。ただし参入が多く、原価高の逆風もある。

裏づけあり

お好み焼きは提供が遅く、リスクがある

  • 経営者の間では「お好み焼き屋は儲からない」がよく言われる。焼くのに時間がかかり、お腹がふくれてお酒が進まない(2017年の記事) [5]
  • メニューに「焼き上がりに20分以上いただきます」と書いている店もある [6]
  • 2025年の粉もん店(お好み焼き・焼きそば・たこ焼き)の倒産は28件で、2009年以降で最多 [7]
  • ただし、たこ焼きのように提供の速い持ち帰り型は、同じ粉もんでも別ものとして考える
作り置きの料理で気をつけること

カレーや煮物の大量の作り置きは、ウエルシュ菌の食中毒が起きやすい料理です。浅い容器に小分けしてすぐ冷やす、温め直すときは中心までしっかり加熱する、保温するなら65℃以上に保つ、が基本です [8]。

「提供が遅いとお客さんが来なくなる」ことを直接測った日本の調査は見つかりませんでした。近いものとして、個人経営の中華料理店の客257人を調べた研究では、年13回以上来る常連ほど待ち時間を重視していました [9]。