お客さんは、本当にスタッフについてきます。失礼のない接客で、いいお客さんを集めることが、非常に重要です。
現場で見てきたこと
お客さんは、本当にスタッフについてくる
第8章でも話しましたが、お客さんはスタッフについてきます。これは本当にそうです。
特に小さなお店では、スタッフの態度が悪かったりすると、本当にお客さんがいなくなります。ここは絶対に注意してください。接客が悪かったら、どんなに料理がおいしかったとしても、もう行きたくない、となってしまいます。
お金を払えるお客さんは、安心できる店を探している
ある程度お金を支払えるお客さんは、とにかく安心できるお店を探しています。安心できるスタッフさんがいるお店。ざわざわしすぎていないお店。そういうお店です。
地域密着のお店なら、お客さんは頻繁に来ることができます。だから、頻繁に来ても嫌ではないスタッフが必要になります。
お客さんが求めているもの
お客さんは、何を求めてお店に来ているのか。料理を食べには来ます。でも、一緒に食べに来た人と、楽しく会話をしたいのです。接待もしたいのです。
いいお店に来て、料理がおいしくて、安心して話ができる。それが求められています。
そこで、店員さんの接客が悪かったり、ほかのお客さんの態度が悪かったりするとどうなるか。ここは接待には使えないし、大事な人を連れてくることもないし、自分が頻繁に来る必要もないかな、となります。
お金を持っているのは、質の高いお客さんです。そのお客さんに来てもらうためには、必ず接客が必要になってきます。
接客が悪いと、客層が崩れていく
接客態度が悪いと、それでも来てくれるお客さんが集まってきてしまいます。そうなると、いいお客さんが来なくなり、悪いお客さんだけが残るようになります。すると、いいお客さんがもっともっと来なくなる。店の雰囲気が、どんどん悪くなっていきます。
客層の負のスパイラル
- 接客態度が悪い
- 接客が悪くても来てくれるお客さんが集まってくる
- いいお客さんが来なくなり、悪いお客さんだけが残る
- いいお客さんが、もっともっと来なくなる
- 店の雰囲気が悪くなっていく。そうなると、もうどうしようもない
金額は安くしてはいけない
金額を安くすると、安いということだけで来てくれるお客さんが集まってきます。これも、かなりきついことになります。金額が安いと、質の悪いお客さんが来るようになるからです。
だから、金額は安くしてはいけません。
接客は70点以上
では、どれくらいの接客が必要なのか。必要なのは、無駄な接客ではなく、失礼のない接客です。ある程度、上品な接客と言ってもいいと思います。もちろん、噛み砕いた接客も、すごく大事です。
接客のレベルを100点満点で考えると、50点は必ず超えなければいけません。60点でもきついです。70点以上は必ず行かなければいけません。
ただ、70点というのは、普通の接客の平均値だと思った方がいいです。普通に、まともな接客をしたら、70点くらいになります。
70点を超えていこうとすると、その人の特徴が入ってきます。話しかけるとか、かわいいとか、かっこいいとか、話が面白いとか、そういうことです。でも、70点の接客でいいのです。
70点の接客とは
70点の接客とは、ちゃんと、真面目に、お客さんの状況を見て判断する接客です。
たとえば、ドリンクのグラスが空いていたら「いかがですか」と声をかける。もう必要なさそうだなと思ったら、お水を持っていってあげる。機械的な接客ではなく、お客さんの様子を見て判断する、ということです。
個人店では、これがすごく重要です。これをしっかりすることで、確実にリピーターが増えてきます。そして、これだけAIが流行った世の中になると、この部分がもっとフォーカスされるようになっていくと思います。
しっかりした接客をして、いいお客さんを集める。そうすると、どんどんお店が良くなっていきます。逆のことをすると、どんどんお店が悪くなっていきます。
データで答え合わせ
お客さんはスタッフにつく
判定:一部裏づけ
よく行くお店に通い続ける理由で、「スタッフと顔なじみ」は12.2%にとどまります。1位は味(86.3%)、2位は価格が手頃(62.9%)でした[1]。
ところが、離れる理由になると話が変わります。2〜4人の会食で「二度と行かない」と思った理由の1位は、スタッフの接客(48.2%)でした。「また行きたい」と思った理由の1位も、接客(54.0%)です[2]。常連が来なくなった理由に「店長やスタッフが替わった」が11%ある、という調査もあります。ただし、調査年や人数は分かっていません[3]。
データに合う言い方にすると、「接客は、来る理由としては弱く、離れる理由としては強い」となります。70点を割らない接客は、お客さんを失わないための土台です。
お金を払えるお客さんは、安心できる店を探している
判定:裏づけあり
会食のお店選びで重視することは、料理(77.4%)、料金(64.3%)、個室(51.4%)、静かさ・話しやすさ(44.5%)でした[4]。2〜4人の会食では、大人数の宴会よりも料金を重視する度合いが下がり、料理の質が1位になります[5]。
制度の面でも、2024年度から、交際費から外せる飲食費の基準が1人1万円に上がりました[6]。
ただし、取引先との外食は、外食の機会全体の2.0%しかありません(2023年度)[7]。会食だけでお店を回すのは難しく、土台はやはり常連です。
接客は70点以上/客層の負のスパイラル
判定:データなし
接客の点数そのものを測ったデータはありません。ただ、お客さんが求めているのは「温かい迎え入れ、清潔さ、ほどよい距離感の気配り」だという解説があり、方向は合っています[1]。
負のスパイラルについても、直接のデータはありません。ただ、初めてのお店を選ぶとき、口コミの評価が3.6以下だと、46.3%が行くのをやめる、という調査があります[8]。
悪い接客は口コミに書かれ、評価が下がり、接客を気にするお客さんから先にいなくなる。この形でなら、負のスパイラルは数字でつながります。
値段を安くしてはいけない
判定:一部裏づけ
居酒屋の倒産は、2026年1〜9月で167件(前年同期比+32.5%)と、1989年以降で最多になりました。原因の89.8%は販売不振で、背景には価格競争と、値上げによる客離れがあります。倒産したお店の90.4%は、従業員5人未満の小さなお店でした[9]。
2025年は、割引をする企業や、安いファストフードが好調でした[10]。小さなお店がチェーン店と安さで競うのは、不利です。
一方で、お客さんにとって価格は大事です。常連になる理由の2位は「価格が手頃」(62.9%)でした[1]。そして、「安くすると質の悪いお客さんが集まる」ことを示すデータは見つかりませんでした。
値上げのやり方の参考になるのが、秋田県の従業員2人の中華食堂です。量を変えずに全メニューを一律100円値上げし、店内に理由を貼り出し、常連には直接説明して、客離れを防ぎました[11]。
データに合う言い方にすると、「値下げで戦わない。値上げは理由を添えて、少しずつ行う」です。
AI時代は人の接客がもっと注目される
判定:一部裏づけ(二極化)
作業の自動化は、お客さんに受け入れられています。注文は「人でなくてよい」が71.3%、会計は65.1%でした[12]。
それでも、スマホとスタッフの両方で注文できるなら、スタッフに頼む人が51.7%で、スマホは16.3%でした[13]。客単価7,000円以上のお店を使う人の52.7%は対面の接客を好み、シニアでは65.4%でした(2023年)[14]。
そして2026年2月から、Googleマップの口コミを、GoogleのAIであるGeminiが要約して表示するようになりました。接客の評判は、AIを通じて新しいお客さんに届くようになっています[15]。
データに合う言い方にすると、こうなります。一人客やランチ、若い人はデジタルで済ませ、会食や高めの価格帯、シニアでは人の接客に価値が残る。小料理屋や鉄板焼きは、後者です。そしてAIが口コミを集めて広めるので、70点を割らない接客が、そのままネットでの集客の土台になります。
出典
- 日本食糧新聞(ファンくる調査、2026年)
- 日本食糧新聞(2〜4人の会食調査)
- livedoor NEWS(常連が来なくなった理由)
- 日本食糧新聞(会食の店選び)
- 日本食糧新聞(会食と料金の重視度)
- 東洋経済オンライン(交際費の基準変更)
- ホットペッパーグルメ外食総研 セミナー資料2024
- Web担当者Forum(イクシアス調査)
- 東京商工リサーチ「居酒屋の倒産 2026年1〜9月」
- 日本フードサービス協会 2025年 年間データ
- 秋田県 事例集「中華食堂の事例」
- @DIME(ホットペッパーグルメ外食総研、人によるサービス)
- Forbes JAPAN(NEXER調査、2025年)
- Forbes JAPAN(DFA Robotics調査、2023年)
- Google Japan Blog(GoogleマップのGemini機能)